† The Worst Pies in London †
ロンドンで一番マズいパイ

(As TODD disappears, we see MRS. LOVETT 's pie-shop.
Above it is any empty apartment which is reached by an outside staircase.
MRS. LOVETT, a vigorous, slatternly woman in her forties, is flicking flies off the trays of pies with a dirty rag as she sings or hums.

TODD appears at the end of the street and moves slowly toward the pie-shop, looking around as if remembering.
Seeing the pie-shop he pauses a moment at some distance, gazing at it and at MRS. LOVETT, who has now picked up a wicked-looking knife and starts chopping suet.

After a beat, TODD moves toward the shop, hesitates and then enters.
MRS. LOVETT does not notice him until his shadow passes across her.
She looks up, knife in air, and screams, freezing him in his tracks)

MRS. LOVETT :
A customer!

(TODD has started out in alarm.
MRS. LOVETT sings)

Wait!
What's yer rush? What's yer hurry?

(She sticks the knife into the counter)

You gave me such a--

(She wipes her hands on her apron)

Fright.
I thought you was a ghost.
Half a minute, can'tcher?
Sit! Sit ye down!

(Forcing him into a chair)

Sit!
All I meant is that I haven't seen a customer for weeks.
Did you come here for a pie, sir?

(TODD nods. She flicks a bit of dust off a pie with her rag)

Do forgive me
If me head's a little vague--
Ugh!

(She plucks something off a pie, holds it up)

What is that?
But you'd think
We had the plague--

(She drops it on the floor and stamps on it)

From the way that people--

(She flicks something off a pie with her finger)

Keep avoiding--

(Spotting it moving)

No you don't!

(She smacks it with her hand)

Heaven knows I try, sir!

(Lifts her hand, looks at it)

Ick!

(She wipes it on the edge of the counter)

But there's no one comes in
even to inhale--

Tsk!

(She blows the last dust off the pie as she brings it to him)

Right you are, sir. Would you like a drop of ale?

(TODD nods)

Mind you,
I can't hardly blame them--

(Pouring a tankard of ale)

These are probably the worst pies in London,
I know why nobody cares to take them--
I should know, I make them.
But good?
No, The worst pies in London--
Even that's polite.
The worst pies in London--
If you doubt it, take a bite.

(He does)

Is that just disgusting?
You have to concede it.
It's nothing but crusting--
Here, drink this, you'll need it--

(She puts the ale in front of him)

The worst pies in London--

(During the following, she slams lumps of dough on the counter and rolls them out, grunting frequently as she goes)

And no wonder with the price of meat
What it is

(Grunt)

When you get it.

(Grunt)

Never

(Grunt)

Thought I'd live to see the day men'd think it was a treat,
Finding poor

(Grunt)

Animals

(Grunt)

Wot are dying in the street.
Mrs. Mooney has a pie shop,
Does a business,
But I notice something weird--
Lately all her neighbors' cats have disappeared.

(Shrugs)

Have to hand it to her--
Wot I calls
Enterprise,
Popping pussies into pies.
Wouldn't do in my shop?
Just the thought of it's enough to make you sick.
And I'm telling you them pussy cats is quick.
No denying times is hard, sir--
Even harder than
The worst pies in London.
Only lard and nothing more--

(As TODD gamely tries another mouthful)

Is that just revolting?
All greasy and gritty,
It looks like it's molting,
And tastes like--
Well, pity
A woman alone with limited wind
And the worst pies in London!

(Sighs heavily)

Ah sir,
Times is hard. Times is hard.

(She finishes one of the crusts with a flourish, then notices TODD having difficulty with his pie, speaks)

Spit it out, dear.
Go on. On the floor.
There's worse things than that down there.

(As he does)

That's my boy.
 

(トッドが消えると、我々はミセス・ラヴェットのパイ屋を目にする。
その上階は空き部屋になっていて、外付けの階段が伸ばされている。
ミセス・ラヴェットは活きのいい崩れた感じの40代の女性で、歌や鼻歌を歌いながら汚い布でパイの盆から蝿を払っている。
トッドが通りの端に現れて、思い出しているかのように辺りを見回しながら、ゆっくりとパイ屋に向かってゆく。
パイ屋を目にすると、彼は幾分距離を空けて少しの間立ち止まり、店とミセス・ラヴェットををじっと見つめる。
彼女はこの時えげつない見た目の包丁を取り上げスエット(牛の腎臓の脂肪)を叩き切っている。
少しの間の後、トッドは店に向かう。躊躇って、そして入る。
ミセス・ラヴェットは彼の影が自分の前に投げかかるまで彼に気付かない。
彼女は視線を上げると、包丁を宙に躍らせて悲鳴をあげ、彼を固まらせて歩みを止めさせる)


〔ミセス・ラヴェット〕
お客だわ!

(トッドはびびって外に向かい出す。
ミセス・ラヴェットは歌う)

待って!
何を慌てているの?何を急ぐことがあるの?

(彼女は包丁をカウンターに突き刺す)

あなたってば、私、こんなに―――

(彼女は手をエプロンで拭う)

びっくりしたわ。
幽霊だと思っちゃった。
30秒、時間くれない?
座って!座って頂戴!

(無理やり彼を椅子につかせる)

座って!
何でもないわ。ただ何週間もお客を見てないだけ。
ここにパイを買いに来たの?お客さん。

(トッドは頷く。彼女はぼろ布でパイの埃を少し払う)

もしちょっと頭がぼんやりしてたんなら許してね―――。
あら!

(彼女はパイから何かを摘み出してそれを掲げる)

何なの?
それにしても、あなた、普通なら私のこと、疫病にかかってるんだろうと思うところだけど―――。

(彼女はそれを床に落として踏みつける)

こんな風に人が―――。

(彼女は指でパイから何かを弾き飛ばす)

避けてるから―――。

(それが動いているのを見つける)

でも、あなたは違う!

(彼女はそれをぴしゃりと手で打つ)

天はご存知よ。私は努力してるのよ!お客さん。

(手を持ち上げてそれを見る)

げっ。

(彼女はカウンターの角でそれを拭きとる)

でも、天国も私の店も、誰一人、そこに入って呼吸を味わうことも無いのよね―――。

フッ。

(彼女はパイから残った埃を吹き払うと、それを彼のところへ運ぶ)

さあ、どうぞ、お客さん。ビールを一杯いかが?

(トッドは頷く)

みんなを責められないって分かるわよね―――。
気を付けてね。それ、ほとんど焼いてないから。

(ビールをジョッキ一杯注ぐ)

きっとロンドンで一番マズいパイなの。
どうして誰も欲しがらないか分かるわ。
分かるはずよね。自分で作ってるんだもの。
自家製ね。でもおいしいかって?
いいえ。ロンドンで一番マズいパイよ―――。
それでもまだ遠慮がある言い方だわ。
ロンドンで一番マズいパイなの―――。
もしお疑いなら、一口齧って。

(彼はそうする)

それ、ちょっと気持ち悪い?
それでも良しとしなくちゃ駄目よ。
パイ皮以外の何物でもないし―――。
ほら、これを飲んで。必要でしょうよ―――。

(彼女はビールを彼の前に置く)

ロンドンで一番マズいパイよ―――。

(以下の場面の間、彼女はカウンターに生地の塊をバンバン打ちつける。そしてそれを伸ばしながら思うままに好き勝手ぶうぶう言う)

疑問の余地なく、肉の値段のせいね。


(ぶつぶつ)

正真正銘の肉を買ったらどれだけするか。

(ぶつぶつ)

まさか、

(ぶつぶつ)

客がそれをごちそうだと思う日を私が生きて見ることがあるとは思わなかったわ。
可哀想な、

(ぶつぶつ)

動物が、

(ぶつぶつ)

通りで死んでいるのが見つかるんだもの。
ミセス・ムーニーがパイ屋をやってるの。
うまく行ってる。
でも、私、気味の悪いことに気付いたの―――。
最近、彼女の近所の猫が全部消えてる。

(肩をすくめる)

彼女の手に渡ったに違いないわ―――。
私に言わせれば、費用低下の企画事業ってものよね。
飛び回る猫ちゃんをパイにって。
私の店ではやらないのかって?
ちょっと考えただけでも十分気持ち悪いでしょ。
それに、言わせてもらうけど、猫って素早いのよ。
ひどいご時世なのは否定できないわ、お客さん。
ロンドンで一番マズいパイよりひどくさえあるわ。
肉どころかラードだけ。ただのラードね―――。


(トッドは勇敢にも努力してもう一口頬張る)

それ、ちょっと胸が悪くなる?
全くヌルヌルギトギトでザラザラジャリジャリで、
見た目は脱皮中みたいだし、
味はまるで―――。
いいわ、同情して。
女が独りで、限りのある力でやってるのよ、
それにロンドンで一番マズいパイで!

(重々しく溜息をつく)

ああ、お客さん。
厳しいご時世だわ。厳しいご時世なのよ。

(彼女は仰々しい仕草で皮を一つ仕上げる。そしてトッドがパイに難儀しているのに気付く。話しかける)

吐き出しなさい、あなた。やれば。床にね。
そこの下にはもっと駄目になったものがあるんだもの。

(彼がそうすると)

私の息子のことよ。
 






















































※head's「頭」=ahead「これから先(に言うこと)」
もし私がこの先言うことがあいまいだったなら、赦してね。
ミセス・ラヴェットが嘘をつくことの暗示。副詞だが名詞のように使われている。
※plague「@疫病A天罰」
私が天罰を受けると思うわよね。






















※ミセス・ラヴェットの店に匂いを嗅ぎにさえ入ってくる者はいない。天国では呼吸する者はいない。
両方についての叙述。








※blame=flame「火で焼く」
themは近所の人間であり、パイのことでもある。



※pies=piece「一部・多くの中の一個のもの」
※take「@買うA命を取る」
※doubt it=doughty「勇猛な」
※disgusting「@胸がむかつくA忌々しい」
きっとロンドンで一番悪い奴らよ。命を取っても、誰も気にしないって分かるわ。
そのはずね。私がパイにするもの。でも良い人じゃないから味も良くないわね。
ロンドンで一番悪い奴らよ。
礼儀正しくてもね。
ロンドンで一番悪い奴らよ。
もしあなたが勇猛なら、噛み付いてやって。
あいつ、気分が悪くなるやつでしょう?でも諦めてね。もう皮しか無いわ。
パイのことのようでいて、裏の意味では判事と教区吏員のことを言っている。

※What it is
肉の値段がどんなものかと、肉が肉そのものであることを表している。

※get「@買うA手にかける」
※treat「@ごちそうA処理」
あなたが例の人を手にかけた時、乞食を見つけて処分したと男が思っている死を目にして、私が生きていられると思うことは絶対に無いわね。




















※enterprise=underprice













※revolt「@不快にさせるA反感を起こさせる」
※greasy「@脂の多いAお世辞を言うへつらい屋の」

※grritty「@砂利のようなA不屈の・めげない」
※molt=mold「型にはめて作り上げる」
それって胸が悪くなる奴でしょう?
媚びへつらい屋と懲りない奴なの。
見た目は型通りよくできた人間に見えたけど。
同情するふりをして一人になった力の限られた女を味わったの。
ロンドンで一番悪い奴らよ!






 
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